大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(ネ)1830号 判決

しかして、控訴人は右の譲渡契約が昭和二十四年政令第四十八号「電話加入権の取扱及び電話の譲渡禁止等に関する政令」に違反して無効なりと抗争するところ、電話加入権が日本電信電話公社との間に加入電話の設置を受け、これにより公衆電気通信役務の提供を受ける契約上の権利であることは昭和二十八年法律第九七号公衆電話通信法第二十七条の規定により明らかであつて、本件譲渡契約のあつた昭和二十六年二月当時における電話加入権もこれと同様の性質をもち、一種の債権であり、財産権であると解するを相当とし、これを譲渡することは一般に私法的自治の範囲にあるものとして認められるところであるが、前記政令によつて、その譲渡を禁止せられ、設置場所の変更を制限せられたのは右政令が「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件(昭和二十年勅令第五百四十二号)に基いて公布施行せられた事実に徴し当時「聯合国最高司令官のなす要求に係る事項を実施するため特に必要ある場合」としてなされたものであることが明らかであつて、電話官署が当事者間の譲渡契約によつて加入名義を変更し、或は設置場所を移転することは許されないが、やがて右政令が廃止せられ、譲渡による加入名義変更の手続ができる時期において、これをなすべきことを附款としてなした契約をも禁止する趣旨にあらざるものと解するを相当とする。しかるに右政令はその後昭和二十七年法律第八十一号「ポツダム」宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律の第二項により同年四月十一日から起算して百八十日間に限り法律としての効力を有したのみで、その後自然失効となつたことが明らかであるから被控訴人が本訴を提起したこと記録上明らかなる昭和二十八年六月九日当時においてすでに控訴人は被控訴人に対し前記の附款付譲渡契約により本件電話の加入名義の変更手続をなすべき義務を負うものといわなければならない。

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